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CBDでタバコの禁煙はできるのか。ニコチン依存性への効果と臨床試験について。


こんにちは。ロキ(@rokiroki_univ)です。


今回は、タバコ喫煙者がCBDで禁煙できるのかということについて考えていきたいと思います。

ここでは、CBDを用いて臨床試験が行われた研究論文の報告と実際の体験談を取り上げて、現時点での正しい結論を導きたいと思います。

今回の内容
●CBDでタバコの禁煙はできるのか。【ニコチン依存性への効果】

●CBDは7日間でタバコの喫煙本数を有意に減らしました。【2013年臨床試験】

●CBDはタバコへの注意バイアスを低下させ、禁煙を助けます。【2018年臨床試験】

●CBDを用いて禁煙を試みる際に注意すべきことと実際の体験談の例。


これら今回の内容を理解することで、禁煙を目指す際にCBDを利用すると、どういった効果が期待できるのかを知るヒントが得られます。

なお、CBDついてあまり知らないという方は「CBDオイルとは。」をまず読んでいただければ理解が深まるかと思います。

CBDでタバコの禁煙はできるのか。【ニコチン依存性への効果】

まず結論からいうと、CBDを摂取することでタバコに対する関心(注意バイアス)を低下させるような重要な結果が臨床試験で得られました。

一方で、予想に反してCBDはタバコに対する渇望度に影響を与えませんでした。

これらのことから、タバコ喫煙者が禁煙の意図を持ってCBDを利用するならば、喫煙量を減らしたり、禁煙することをサポートできることが示唆されました。

これに関連して捕捉で重要だと考えられるのは、そもそもCBDはストレスや不安を緩和する効果が認められているということです。

このことも臨床試験においてCBDが喫煙者の喫煙量を減らしたことに関係しているだろうと考えられます。

では、実際にこれらの根拠となるエビデンスを提供する臨床試験を詳しくみていきましょう。

CBDは7日間でタバコの喫煙本数を有意に減らしました。【2013年臨床試験】

2013年、24人の喫煙者を対象にランダム化二重盲検プラセボ比較対照試験が実施されました。
参考文献)Addict. Behav. 2013, 38, 2433–2436.

この試験では12人ずつCBD群とプラセボ群に割り振られました。※プラセボとは比較のための偽薬のことで、有効成分を含みません。

1週間、被験者は喫煙意欲を感じた時にCBD(12人)またはプラセボ(12人)を吸入器で吸入するように指示されました。

その結果、プラセボ群ではタバコの喫煙量に変化はありませんでしたが、CBD群ではタバコの喫煙量が明らかに減りました。


では、これから臨床試験の詳細をさらにみていきましょう。

※なお、臨床試験に関する基本事項については過去の記事「てんかん治療から学ぶ薬の臨床試験とCBDオイルの効能。」でまとめているので、勉強したい方は参考にしてみてください。

禁煙希望のタバコ依存性喫煙者に対するCBD臨床試験の概要とサンプル。

参加者の適格基準は1日あたり10本以上タバコを吸っており、喫煙をやめる意図のある人で、年齢は18〜35歳の範囲(平均28歳)でした。

CBD群およびプラセボ群の平均のタバコ喫煙本数はそれぞれ18.2本および16.5本で、喫煙歴はそれぞれ14年および11年でした。

CBDもしくはプラセボは、エアロゾルによる吸入が可能な吸入器を用いて摂取されました。

1週間の間、いずれも喫煙意欲を感じた時に吸入するように指示されました。

禁煙希望のタバコ依存性喫煙者に対するCBD臨床試験の結果と考察

結果はプラセボ群と比較してCBD群で明らかに7日間で有意な喫煙量の減少が見られました(p=0.002)。

喫煙したタバコの本数は40%も減少しました。

p値について、例えばp=0.05であれば普段起こりうる確率が5%であることを意味し、そのようなテスト結果は偶然とは言えないということを意味します。もしもp=0.5だと普段50%の確率で起こることがテストで起こったということになり、それはテストによるものではなく偶然ではないかと疑われてしまいます。なお、実際にはp<0.05で統計的に有意な結果であるとされています。


一方でプラセボ群では7日間での喫煙量の有意な低下はありませんでした。

なお、CBD群では不安症状における評価スコアの低下率がプラセボ群と比べて大きく、このことは偶然と思えない印象を受けました。

さらに興味深いことに、タバコに対する渇望度はいずれのグループでも治療後に低下していたのですが、プラセボ群とCBD群での差はありませんでした。

したがって、両グループでの渇望度合の低下は、おそらく吸入器を使用することで治療を受けているという意識が働くことによるプラセボ効果に起因するのではないかと考えられます。


ここでひとつ謎が生じます。

タバコに対する渇望度はCBD群とプラセボ群で差がなかったにもかかわらず、どうしてCBD群で明らかに喫煙量が減ったのでしょうか。

その答えとなりうる手がかりが2018年の臨床試験で報告されることになります。

専門的な内容

なお、動物実験ではアナンダミドの分解酵素(FAAH)が阻害されると、ニコチンの効果が低下するということが示されています。CBDはアナンダミドの分解酵素を阻害して、アナンダミドの血中濃度を上げる作用があります。


アナンダミドなどの役割に関して詳しくは「エンド・カンナビノイド・システムとは」を参照ください。

CBDはタバコへの注意バイアスを低下させ、禁煙を助けます。【2018年臨床試験】

2018年、治療志向のない30人の依存性喫煙者を対象にランダム化二重盲検プラセボ比較対照試験が行われました。
参考文献)Addiction 2018, 113(9), 1696–1705.

一晩タバコをやめた後、800mgのCBDを経口摂取するとプラセボを経口摂取した場合と比較してタバコへの関心が低下しました。

では、ここでの関心の低下とは具体的にどういうことなのでしょうか。これから詳しく解説していきます。

なお、試験はクロスオーバー試験で行われました。クロスオーバー試験とは各群で別々の治療を行い評価した後、各群の治療法を交換して再度評価する方法です。

依存性薬物に対する注意バイアスという評価尺度について。

CBDは「喫煙しよう」という前兆の顕著性を低下させる可能性が指摘されていました。

そこで注目されたのが依存薬物に対する注意バイアスという評価尺度です。

薬物の注意バイアスとは、無意識に薬物もしくはそれに関連する物に注意を向ける現象のことを言います。

つまり、潜在的な脳の機能が、ある特定の対象に反射的に注意を向けさせる現象のことをいいます。

この薬物刺激に対する注意バイアスは薬物依存度における非常に重要な指標となることがわかっています。

CBDに関する研究では、例えばCBDがヘロイン中毒者に投与されるとヘロイン刺激への注意バイアスを低下させたことが示されました。

そこで、筆者らはCBDがタバコに関連する刺激に対する注意バイアスおよび心地よい印象を低下させると仮定し、臨床試験を実施しました。

禁煙意図のないタバコ依存性喫煙者に対するCBD臨床試験の概要とサンプル。

この臨床試験では、30人の喫煙者がまず通常通り喫煙し、その後、およそ12時間の禁煙を行い、800mgの経口CBDカプセルとプラセボの効果が比較されました。

参加者は18〜50歳(平均年齢28歳)の少なくとも1日10本以上のタバコを吸っていたニコチン依存症の者であり、起きてから1時間以内に最初のタバコを吸うという条件が適格基準に含まれていました。

なお、平均の1日あたりの喫煙本数は13.5本、喫煙歴の平均年数は9.6年でした。

【注意バイアス評価】禁煙意図のないタバコ依存性喫煙者に対するCBD臨床試験の結果。

注意バイアスの評価方法としてビジュアルプローブタスクが利用されました。

このタスクでは被験者に対して、喫煙に関連する画像(タバコ刺激画像)と構成が類似した喫煙とは関係のない中性的な画像(中性画像)のペアが瞬間的に画面に表示され、被験者の視線の偏りと応答時間が記録されました。

※この例では中性画像は口紅を塗っている画像。

ペア画像の表示時間は、より潜在的な志向を反映しうる0.2秒の短時間暴露と、より意識的な志向を反映しうる0.5秒の長時間暴露に分けて記録されました。

試験には複数の画像が使用され、適切な応答が認められた正しい試行のみが分析されました。

結果は以下の図のようになりました。

短時間暴露(左の黒)と長時間暴露(右のグレー)の注意バイアスがそれぞれ左から満腹時および禁欲時CBD群禁欲時プラセボ群で示されています。

なお、正のスコア(ms: ミリ秒)がタバコ刺激画像に偏ったバイアスを示しています。

短時間暴露では、満腹時よりも禁欲時のプラセボ群でタバコ刺激画像への注意バイアスが大きくなっていました(p=0.001)。

一方で、短時間暴露において禁欲時でのCBD群よりもプラセボ群でタバコ刺激画像への注意バイアスが大きく(p=0.007)、禁欲時CBD群と満腹時での結果の差はほとんどありませんでした(p=0.82)。

禁欲時のCBD群において、長時間暴露では短時間暴露と比較してタバコ刺激画像への注意バイアスが大きくなりました(p=0.015)。

これらの結果から、幾分の意識下ではCBDを服用してもタバコ刺激に注意バイアスが向けられるが、無意識下、潜在的にはCBDがタバコ刺激に対する注意バイアスを明らかに低下させているということが示されました。

プラセボと比較してCBDは禁欲時の喫煙者のタバコへの注意バイアスを逆転させることが明らかになりました。

【快感度評価】禁煙意図のないタバコ依存性喫煙者に対するCBD臨床試験の結果。

さらに、同時に快感評価タスクが行われました。

これはタバコ関連画像に対する快・不快の度合を評価するための試験です。

この試験では、タバコ関連画像もしくは中性画像のいずれかが3秒の間、ランダムな順序で提示されました。

画像のタイプは前述のビジュアルプローブタスクの時と同様でした。

被験者は提示された各画像の快感度を-3〜+3の7段階のスケールで評価しました。※ -3は非常に不快、+3は非常に快適。

快感評価タスクの結果を以下に示します。

結果はタバコ関連画像の評価数値から中性画像の評価数値を引いた差で示されています。

満腹時と禁欲時(プラセボ群)での有意な差は見られませんでしたが、禁欲時におけるCBD群においてプラセボ群と比較してタバコへの快感度の有意な低下が観察されました(p=0.011)。

このように、禁欲時の喫煙者に対してCBDはタバコに対する心地よさを明らかに抑制しました。

禁煙意図のないタバコ依存性喫煙者に対するCBD臨床試験結果の考察。

これらの試験結果から、CBD群とプラセボ群でタバコへの注意バイアスが逆転し、CBD群でタバコへの快感評価における快感さが低下することが判明しました。

ところが、同時に評価された、タバコの渇望度や離脱症状の主観的な評価においては、プラセボとCBDで差はありませんでした。

なお、これらの渇望および離脱症状スコアは予想通り満腹時よりも禁欲時で顕著に高くなりました。

この結果は、前述の2013年に報告された臨床試験の結果とつじつまが合います。

すなわち、CBDを服用してもしなくても意識的にはタバコに対する渇望度は同様に認められるにも関わらず、脳の潜在意識におけるタバコへの関心・動機付けの顕著性はCBDによって低下しました。

短時間暴露の場合のみ顕著にCBDによってタバコへの注意バイアスが避けられたことは、脳の意識外での自動処理に関連しています。

なお、副作用に関してはいずれの臨床試験においてもほぼ見られず、高い忍容性が確認されました。

これらの結果はCBDの抗依存効果が薬物志向バイアスを修正するメカニズムによることを支持します。

したがって、CBDは特にタバコへの注意バイアスの高まりに苦しんでいる人に有効であると考えられます。

ただし、これを確認するためには、CBDが食物などの他の顕著な刺激に対しても動機付け・方向付けを修正するかどうかのさらなる調査が必要です。

CBDを用いて禁煙を試みる際に注意すべきことと実際の体験談の例。

臨床試験の結果はCBDがタバコ使用障害の治療に潜在的な有用性を示していることを強調しました。

ただし、CBDは禁煙活動に十分期待できる効果はありますが、過度な期待はせず、正しく活用して禁煙に取り組むことを心構えとするのが重要だと考えられます。

なぜならニコチン中毒の誘発は注意バイアスのみが要因だとは考えにくいため、CBDを過大評価するのは正しいとは言えないからです。

実際にCBDで禁煙を始めて、「吸いたいって気持ちは簡単に消えるわけではないけれど、タバコのことがあんまり気にかからなくなった」とおっしゃる人もいます。

これは、実際の臨床試験の結果を裏付けるようなリアルな声にも思えます。

例えば以下の動画の方もそのような例だと言えます。禁煙活動のヒントになるかと思ったので、引用させてもらいます。


いかがったでしょうか。


参考にしていただけたら幸いです。

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ここまで見ていただきありがとうございました!