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【京大で論文データ捏造疑惑】大麻成分CBDの社会不安障害への効果を調べた臨床試験【正高信男】


こんにちは。ロキ(@rokiroki_univ)です。


2020年4月21日、京大の正高信男・元教授が大麻の成分であるCBD(カンナビジオール)の効果を調査した論文について、データの捏造を疑われたニュースが朝日新聞により報道されました。

研究内容は「社会不安障害における症状へのCBDの効果」であり、非常に興味深いものとなっています。
実際の研究論文)Front. Psychol. 2019, 102466.

では、今回は「この捏造が本当なのかについての現時点での考察」と「CBDの社会不安障害に関する研究」について取り上げたいと思います。

今回の内容
●正高信男・元教授の大麻成分CBDを用いた研究手法は承認を得ていなかった?

●【論文データの捏造疑惑】社会不安障害に対するCBDの効果を調査した研究。
・不安症状へのCBDの効果に関するこれまでのエビデンスについて。
・社会不安障害における症状へのCBDの効果を調査した正高氏の研究論文。
・CBDの効果を調査した正高氏の研究論文データは捏造なのか。

以下が朝日新聞により報道された内容の引用になります(2020年4月21日)。

 京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)の元教授(65)が、大麻の合法的成分の効果を調べた論文で、研究手法について大学の倫理委員会の承認を得ていなかったことがわかった。さらに大学側は元教授に論文の元データの提出を求めたが、ほとんど出されなかったため、「データを捏造(ねつぞう)した疑いがある」として、調査を始めた。元教授は朝日新聞の取材に対し「捏造はしていない」と主張している。
 京大関係者によると、問題の論文は、発達障害に詳しい正高(まさたか)信男・京大霊長類研教授(当時)が2019年11月に発表した。大麻の合法的成分で、国内ではサプリメントのように食品として市販される「カンナビジオール(CBD)」が、対人関係をうまく築けない社交不安障害に効果があるか、国内の18、19歳の男女計40人で調べたという。
 当初、この研究手法が承認を得ていないとの指摘があり、学内で調査が始まった。その過程で、大学側が正高元教授に複数回、論文の元データを求めたが、研究ノートなどの記録が提出されなかったという。研究の世界では、元データなどを記録したノートが重要視される。そのため関係者によれば霊長類研は「データを捏造した疑いがある」として、京大本部に報告。調査委員会を設置し、捏造の有無を含めて調べるとみられる。

 正高元教授は朝日新聞の取材に倫理委の承認を得ていなかったことを認め、「薬ではなく食品扱いなので、問題ないと思っていた」と話した。データについては「研究は行った。ノートというものはないが、(研究参加者に回答してもらった)書類はあり、捏造はしていない」と反論した。京大本部の広報課は朝日新聞の取材に、「事実の有無を含め、答えは差し控える」と回答した。

引用:朝日新聞 2020/4/21

正高信男・元教授の大麻成分CBDを用いた研究手法は承認を得ていなかった?

朝日新聞の記事を見るとどうやら「研究手法」について大学の倫理委員会の承認を得ていなかったとのことで、問題になったようです。

つまり、そもそも問題になっていたのは捏造疑惑ではなく、承認をもらっていなかったことにありました。


ところが、実際の研究論文を見てみると、「パイロット試験として20歳未満の若者がCBDオイルを摂取するという条件が倫理委員会に承認された」と明記されています。

つまり、論文中に明記された承認内容が、報道記事に書かれている「研究手法」に該当しなかったということなのでしょうか。


一方で、元教授はCBDは普通に健康食品として合法的に市販されているため、食品扱いだと思い使用したと言っています。

この点、大学の倫理委員会はおそらく、大麻由来のCBDはサプリメントという位置づけなのに、治療のような研究手法でヒトを対象に試験したということを問題視したのかもしれません。

これらのことから、以下の二つのパターンが考えられます。

●倫理委員会は、論文に明記されたように承認はしたが、疾患に対して治療目的で試験することを承認していなかった、あるいは後になってから研究内容の他の細かい部分に承認がないと指摘したかった。

●正高元教授は、そもそも承認を得てもいないのに勝手に承認を得たと偽って論文に記載した。


おそらく事実は前者なのではないかと踏んでいますが、どうでしょうかね。

【論文データの捏造疑惑】社会不安障害に対するCBDの効果を調査した研究。

ところが、論点は捏造疑惑にすり替わりました。

大学側が論文の元データとなるノートや書類の提出を求めましたが、実験ノートは提出されなかったため、捏造の疑惑を強めたようです。

正高元教授は「研究は行った。研究に参加した参加者が回答した書類は残っていて、捏造はしていない。」と回答しています。

では、本当に捏造したのでしょうか。

まず、ひとつ考えたいのはこの研究の内容です。

不安症状へのCBDの効果に関するこれまでのエビデンスについて。

CBDは過去の文献を調べてみると、いくつかの臨床的試験が行われており、社会不安障害やその他の不安症状への有益な効果は明らかに認められています。
参考文献)BMC Psychiatry 2020, 20, 24.

また、前臨床試験などの段階でCBDの抗不安効果における多くの証拠が既に判明していることから、現在アメリカではCBDの不安障害への効果を追加で調査するためのランダム化比較対照試験が進行しています。

すなわち世界的にみると、例えばSTAP細胞のような先手を争って論文を投稿するほどの未曾有の発見でもないし、そもそも既にある程度判明しており、予想できる内容・結果だと言えます。

このような研究に、すでに実績のあった教授がリスクを負ってまで捏造する意味はあるのでしょうか。


もしもこの研究が基本的に捏造のないものなのであれば、精神疾患に苦しむ多くの日本人にとって非常に希望を与えてくれる内容になります。

そして私はこの研究の内容を見る限り、ある程度の妥当性および再現性があるのではないかとみています。

このように思う根拠には私が実際にCBDに関する数々の臨床研究論文を見てきたからです。


※なお、関連記事に興味のある方は「精神疾患におけるCBDの研究」および「不安・うつがCBDオイルで改善」も参照ください。


では実際に問題となっている研究の詳細をこれからみていきます。

社会不安障害における症状へのCBDの効果を調査した正高氏の研究論文。

この研究の内容は、対人関係をうまく築けない社会不安障害に対してCBDは効果があるのかを調査するために、18〜19歳の若者を対象に臨床的な試験を行ったというものでした。
参考文献)Front. Psychol. 2019, 102466.

この研究では、回避性パーソナリティ障害を伴う社会不安障害と診断された18〜19歳の若者を対象にCBDのランダム化プラセボ比較対照試験が実施されました。※プラセボとは比較のための偽薬のことで、有効成分を含みません。

4週間、毎日300mgのCBDオイルもしくはプラセボが昼に経口投与され、CBD群17人およびプラセボ群20人の試験前後の症状変化が評価されました。(下図)

結果として、FNEおよびLSASという評価尺度においてプラセボ群と比較してCBD群で明らかに社会不安障害の症状レベルの有意な低下が示されました。

FNEは他者からの否定的な評価に対する恐れの度合を、LSASは対人による不安や回避傾向の度合をそれぞれアンケート形式で評価してスコア化する症状の評価尺度です。


社会不安障害の薬物療法の選択肢としてパロキセチンが最も効果的であると2016年に報告されています。

ここでは、26週間にもおよぶパロキセチン単独の治療でFNEスコアが5.2、LSASスコアが10.2低下したと報告されており、今回の4週間のみのCBDによる投与と低下度合がほぼ同等でした。(CBDではそれぞれで5、12のスコアの低下)

これはカンナビノイドに詳しくない人からしたら驚くべき結果かもしれません。


この結果について、筆者の元教授は治療に抵抗のある多くの社会不安障害の若者にとってCBDは治療に対する障壁を減らすための効果的な選択肢であるかもしれないと述べています。

実際、CBD群の多くの若者が試験後に治療を求める態度がポジティブになったようです。

CBDの効果を調査した正高氏の研究論文データは捏造なのか。

試験が事実か否かは試験を受けた各々の対象者に確認すればよく、大学側が求める実験ノートなるものが無くても、一定の資料があるのであれば捏造を疑うには早計に感じます。

しかし、研究側にも疑問があります。それは研究に主に関わった研究者名が元教授の1人しか論文に記されていないということです。

ある程度の規模のランダム化比較対照試験(RCT)において、主に研究に関わったのが1人だというのは普通ではありません。

言い換えれば、監視の目が少ないということであり、本人の裁量でかなり結果を調整できた可能性もあります。もしかすると大学側はそこに疑いを持ったのかもしれません。

あるいは、大麻の成分という化合物を用いて研究するにあたって、元教授は何かあった時に関係者を巻き込みたくなかったのかもしれません。

とはいえ、最も問題となっていたのは、CBDを食品という位置づけとしていたにもかかわらず、薬としての治療効果を見るための「研究手法」でCBDの試験を行ったことなのかもしれません。

もしも捏造というよりかは、そこだけが問題であった場合、この研究の結果は非常に興味深いものであるとは言えるでしょう。

すなわち、試験方法として適切かどうかはさておき、このデータを裏付ける結果を示す研究論文が今後現れてくる可能性があるという点で注目に値するニュースであったと言えるかもしれません。

いずれにしても真実がどうなのかは現時点ではよくわかっていませんが、今後の動向が気になるトピックであることには間違いありません。


いかがだったでしょうか。

「CBDと不安障害」における、より詳細なレビューや解説、また、その他のCBDの効果・作用に関するまとめなどについては、以下の記事で網羅的にまとめました。(※前編と後編に分かれていて書籍並みのボリュームになっていますが、無料公開している最初のまとめ部分だけでも有益な内容になっているかと思いますので、是非のぞいてみてください。


さらに詳しくCBDについて知りたい方には必見の内容となっているので、参照していただけたら幸いです。


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