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オレンジ由来のCBDとは?合成CBDや麻由来のCBD製品との違いについてもわかりやすく解説。


こんにちは。ロキ(@rokiroki_univ)です。

一時期、オレンジ由来のCBDが話題となりました。『オレンジCBD』というフレーズのクリーンな印象から興味を持った方もいらっしゃったかもしれません。

今回は、オレンジ由来のCBDとは何なのか、合成品や麻由来の製品との違いにも触れながら解説していきたいと思います。

今回の内容

●オレンジCBDとは。合法?違法?
●オレンジCBDの正体は「合成CBD」である。

・オレンジCBDが合成CBDである理由。
・オレンジ由来、ホップ由来のテルペンは合成CBDの原料に最適である。
・合成CBDは大麻由来ではないため、オレンジCBDも大麻由来ではない。
●オレンジCBDの安全性と大麻由来のCBD製品との比較について。
・オレンジCBDは「天然型CBD」である。
・オレンジCBDと麻由来のCBDにおける製造過程の比較。
●オレンジ由来のCBDにおける誤った情報に注意しましょう。


CBDには大麻由来のCBDだけでなくオレンジ由来のCBDもあると話題になっています。本記事では上記の内容の順に説明しています。

なお、CBDの基本的な内容については過去の記事「CBDオイルとは」をご覧ください。

オレンジCBDとは。合法?違法?

オレンジCBDと呼ばれて話題となったCBD製品は、オレンジ由来の成分が原料であることから大麻取締法(※2021年時点)の対象とならないため、非常に注目を集めました。

また、大麻由来のCBDと比較して規制物質であるTHCが検出される心配がほぼないということも注目された理由に挙げられます。

このことは、CBDを取り扱う人にとっては死活問題でしょう。なぜなら、2020年4月以降、厚生局麻薬取締部が、「CBD製品の輸入において提出が必要な書類をもとに『大麻に該当しない』と回答した場合であっても、国内検査で後からTHCが検出された場合は『大麻に該当する』ものを輸入したとして処罰の対象にする可能性がある」としているからです。

また、大麻草の成熟した茎や種子以外の葉、花穂、枝、根などから抽出・精製されたCBD製品も「大麻に該当する」としています。そのため、天然由来のCBD製品は後々に処罰の対象となるリスクがあるのです。

一方で、オレンジ由来のCBDの場合は、その後の処罰のリスクはありません。すなわち、オレンジCBDには法律上の問題がないのです。

オレンジCBDの正体は『合成CBD』である。

結論を言うと、オレンジCBDの正体は『合成CBD』です。より厳密に言うと『半合成CBD』と呼ぶ方が正しいかもしれません。

いずれにせよ、「CBDはオレンジなどの柑橘類の皮から抽出されます」という情報をネット上で見かけたことがありますが、これは完全に誤りです。

では、このことについて、これから分かりやすく解説していきたいと思います。

オレンジCBDが合成CBDである理由。

下図のように、CBDは構造的に2つの主要部位、すなわちオリベトール部位とリモネン部位で構成されています(下図)。


合成戦略では、まるでレゴブロックのようにオリベトール部位とリモネン部位をつなげる(=くっつける)という手法をとることが多いです。化学合成技術を用いる場合、これが最も単純な合成方法だからです。

オレンジCBDの正体が『合成CBD』である理由は、オレンジに含まれているテルペンに由来する原料をオリベトールと反応させることで合成している製品がオレンジCBDだからです。

つまり、上図において、CBDのリモネン部位がオレンジから抽出されるテルペンに由来するもので、オリベトール部位を形成する反応原料は別で調達する必要があります。すなわち、CBDがオレンジに含まれているという事実は一切ありません。

オレンジ由来、ホップ由来のテルペンは合成CBDの原料に最適である。

オレンジCBDの製造に「触媒を組み合わせた技術」を利用していると報告しているメーカーがありますが、この触媒とはテルペン由来の原料とオリベトール類の化合物との反応で添加剤として用いる「酸」のことです。この「酸」はテルペン由来の原料とオリベトールからCBDを合成するのに重要な触媒(=反応の促進剤)です。

そもそも、合成CBDに重要な反応原料のひとつであるオリベトール類を製造に利用している時点で、オレンジCBDが合成CBDであることを否定することはできないでしょう。

天然の柑橘類の皮に豊富なテルペンにはリモネンがあります。おそらく、このリモネンをCBD合成の反応原料として用いているのでしょう。このことからもオレンジCBDは合成CBDであるということが分かります。ホップCBDも同様にホップ由来のテルペンを合成の原料に使用しているという点で類似した例であると言えるでしょう。

合成CBDは大麻由来ではないため、オレンジCBDも大麻由来ではない。

もともとは、大麻CBD製品のさまざまな法規制をクリアするために、果物のオレンジから得られるテルペンをCBDの生産に利用しようとしたのがはじまりです。

オレンジCBDとは、確かに柑橘類の皮などから抽出した原料を使用しており、大麻由来ではありません。ですが、オレンジCBDは合成CBDに分類されるものであり、だからこそ「遺伝子組み換え、遺伝子編集をせずに生成された、純度の高いCBDである。」と言えるのです。

カンナビノイドは大麻草から独自に生合成される特徴的な成分です。したがってオレンジやホップなどからCBDが自然につくられることはあり得ません。

なお、実際には、原料が天然由来だから「半合成CBD」と呼ぶのが適切かもしれません。しかし、合成の過程などを考慮すると、感覚的に70%程度は「合成」であるような印象があります。

オレンジCBDの安全性と大麻由来のCBD製品との比較について。

前述した通り、オレンジCBDは合成CBDなので、合成CBDと天然CBD(=麻由来のCBD)を比較すればオレンジCBDと大麻由来のCBDの違いが分かります。

ここでの内容がわかるとオレンジCBDの安全性についても理解できるようになるでしょう。

オレンジCBDは「天然型CBD」である。

結論から言うと、オレンジCBD、すなわちここでの「合成CBD」は大麻草内に存在する天然のCBDと構造が全く同じものであるため、麻由来のCBD製品(=CBDアイソレート:高純度に精製されたCBD)と同様のものであると考えて問題ないでしょう。つまり、オレンジCBDは「天然型CBD」であると言えます。

勿論、オレンジCBDはCBDアイソレートのように高度に精製された合成CBDですので、基本的に純度は99%を超えておりTHCは含まれていません。

したがって、利用時の注意点は通常の麻由来のCBD製品と同じです。摂取に関する注意点や副作用についての知見は以下の過去記事を参考にするとよいでしょう。

・「CBDが効果ないのは摂取量のせい?効果を実感する適量や解決策の見つけ方。
・「CBD(カンナビジオール)の副作用。安全性やリスク対策について解説。


ただし、オレンジCBDでは麻由来のCBDオイルにあるフルスペクトラムは再現できません。ブロードスペクトラムで販売されていたとしても、CBDアイソレートに後でテルペンなどを添加した製品になるでしょう。

※CBDアイソレート、フルスペクトラム、ブロードスペクトラムなどの用語については、noteに執筆した記事「CBD製品の製造過程【合成品と大麻抽出物を比較】 -カンナビノイドの組成分析方法(GCとHPLC)も解説-」に説明がありますので、参照ください。

オレンジCBDと麻由来のCBDにおける製造過程の比較。

まず、麻由来のCBDのメリットから触れ、その後にオレンジCBD(合成CBD)の強みに言及したいと思います。


栽培した大麻草からの抽出は化学合成よりも環境にやさしい方法です。また、2021年の現時点で、化学合成法によるCBDの製造には、大麻草からの抽出に比べて数倍のコストがかかると言われています。

加えて、化学合成過程では人体に有害な有機溶剤や試薬の使用は避けられません。ただし、製品となる合成CBDの品質や安全性の問題は、合成過程における最後の精製での厳密な不純物の除去でほぼ解決できるため、そこまで神経質になる必要はないでしょう。実際に私たちは、市場に流通している医薬品や食品添加物のような化学合成品を口にしています。例えば、市場に流通しているビタミンCは合成品のものがほとんどです。

一方で、大麻植物由来の天然CBDに含まれる可能性のある汚染物質(重金属、農薬)は広く議論されています。植物由来のCBDは、生育環境が悪いと、このような重金属、農薬による土壌汚染の問題が避けて通れません。

また、安定した精製法の確立と一貫した品質管理の実現を目指すとなると、化学合成に利点があります。さらに、法規制の問題・リスクを回避できるのも合成CBDの強みになるでしょう。

このように、それぞれに一長一短があるため、どちらが優れていると感じるかはその人の立場によるかもしれません。いずれにせよ、合成CBDの技術が大麻草の抽出技術と相補的な関係を築けると、よりカンナビノイドの研究が発展していけるのかもしれません。

オレンジ由来のCBDにおける誤った情報に注意しましょう。

オレンジ由来CBDという表現は間違いなく誤解を生む言い方です。なぜならばCBDはオレンジに含まれていないからです。このオレンジ由来というのは合成CBDにおいて、その反応の原料となるテルペンがオレンジ由来であるということです。

正しい知識を身につけて正しく情報を抽出しなければ、間違った情報を鵜呑みにしてしまうことになりかねないので注意が必要です。

ただし、ここで言いたいことは、「合成CBDが悪いものだから、オレンジCBDは悪い。」ということではありません。実際に第三者機関で行われた分析では、CBDが99.5%含まれており、THCおよびその他のカンナビノイド類は検出されないCBDアイソレートがオレンジ由来のCBDで製造されています。これはつまり、合成技術を利用すれば品質の高いCBDを合成することが可能であることを裏付けていると言えます。



いかがだったでしょうか。

今回取り上げたオレンジCBDに関わる合成CBDや天然CBDについて、以下の記事(※画像とタイトルにリンクあり)で網羅的にまとめました。さらに詳しくCBDについて知りたい方には必見の内容となっているので、参照していただけたら幸いです。

上の記事では
◆CBD製品における合成品と天然抽出物の比較【リスクとメリット】
◆CBD製品の具体的な生産方法(製造過程)【大麻からの抽出と化学合成】
◆合成CBDの歴史と最新の研究【化学合成と生物学的技術】
◆カンナビノイド製品における不純物の検出方法や組成分析技術【GCやHPLC】

などの内容を取り上げており、適宜、科学論文などの信頼できる一次情報などを引用しながら記事をまとめているため、CBDを扱う方に役立つようになっています。

参考にしていただけたら幸いです。


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ここまで見ていただきありがとうございました!