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CBDが効かないのはバイオアベイラビリティのせい?カンナビジオールの薬物動態。


こんにちは。ロキ(@rokiroki_univ)です。


今回はCBDのヒトに対するバイオアベラビリティ(生物学的利用能)について、2018年に報告されたレビューを紹介しながら考察していきたいと思います。

バイオアベイラビリティとは、摂取したCBDが体内で利用される割合のことを示します。

この利用率が低いとCBDの効果が感じられにくくなってしまいます。

「CBDは私には効果ない」あるいは「効きにくい」という話を時々耳にします。今回の記事は、そのような悩みを解決するようなヒントや答えになるかもしれません。

今回の内容
●ヒトにおけるCBDの薬物動態に関する研究をまとめたシステマティックレビュー。

●バイオアベイラビリティは薬物動態パラメータから計算できる。

●システマティックレビューから考察された、ヒトにおけるCBDの薬物動態学。

●ヒトにおける摂取方法ごとのCBDの薬物動態パラメータ。

●ヒトにおけるCBDのバイオアベイラビリティに関する研究で今後求められていること。

たしかに、実際にCBDの効き方には個人差がありますし、その時のコンディションにも左右されることがあります。

ですが、案外CBDの摂取方法を工夫してバイオアベイラビリティを向上させることで、このような問題が解決することもあります。

ヒトにおけるCBDの薬物動態に関する研究をまとめたシステマティックレビュー。

今回はヒトに対するCBDのバイオアベイラビリティ・薬物動態に関する過去の研究をまとめた、2018年のシステマティックレビューについて紹介していきます。
参考文献)Front. Pharmacol. 2018, 9, 1365.

CBD(カンナビジオール)には経口摂取や舌下投与、喫煙など様々な摂取方法がありますが、それぞれバイオアベイラビリティが異なります。

今回紹介するレビューでは、様々な摂取方法や条件で評価されていたものが取り上げられていました。

ところが、それぞれの研究の質は高いものが多かったようですが、条件に統一性がありませんでした。また、報告数も非常に限られていました。

なお、このレビュー作成のための調査は2人の独立した研究者により2018年の3月14日までに実施されました。

バイオアベイラビリティは薬物動態パラメータから計算できる。

バイオアベイラビリティを知る上で重要なのが薬物動態パラメータという評価指標です。

「薬物動態」とは薬の吸収や分布、代謝、排泄などの過程に関わる体内動態を示します。


この薬物動態の指標として用いられる種々の評価数値を薬物動態パラメータと言います。


これに関連することとして、薬物間相互作用があります。

薬のCBDによる薬物動態学的相互作用とは、CBDにより影響を受けて薬の血中濃度が変化することを表します。

これによって過剰な効果の発現や効果の減弱が起こると、薬の副作用が強くなったり薬の効果が低下したりします。


薬物動態パラメータをCBDでヒトに対して評価した研究は非常に少なく、レビュー調査では最終的に24件の研究報告に絞られました。

さらに、CBD単独でのヒトの薬物動態パラメータを報告していたのは24件中で8件のみでした。その他はTHCや大麻との組み合わせで用いられていました。

薬物動態パラメータには主に以下のものがあります。

最大血漿濃度 …指定された時間間隔で測定されたCBDの最大の血漿濃度(血中濃度)

最大濃度時間 …最大血漿濃度(最大血中濃度)に達するまでの時間

半減期 …血漿濃度が半分まで減少するのにかかる時間

AUC …指定された時間間隔における、血漿濃度vs時間を示す曲線下の面積(積分値)
※ある時間間隔での各時間における血漿濃度を足し合わせた(合計した)値に対応。

平均排泄速度定数 …排泄の速度を表す尺度

AUCはCBDの血漿濃度と持続時間に依存するため、バイオアベイラビリティを計算するうえで重要なものとなります。

システマティックレビューから考察された、ヒトにおけるCBDの薬物動態学。

まずレビューにより得られた結論から解説していきたいと思います。※それぞれの詳しい評価数値は後述いたします。


喫煙による平均バイオアベイラビリティは31%でしたが、他の経路に従うCBDの絶対バイオアベイラビリティを計算して報告した研究はありませんでした。(2018年時点でのヒトに対する研究)

ある動物実験での過去の調査では、CBDの経口バイオアベイラビリティが13〜19%と非常に低いことがわかっています。


一方で、薬物動態パラメータが評価されていた摂取方法には、口腔内粘膜投与と経口摂取、静脈内投与、喫煙・吸入がありました。


口腔内粘膜投与にはスプレーによる噴出や舌下滴下による投与があり、経口摂取にはカプセルによる摂取があります。

CBDの最大血漿濃度(血中濃度)とAUCにおける用量依存性。

まず、どの摂取方法でも最大血漿濃度とAUCはCBD投与量の増加に伴って大きくなりました。

すなわち最大血漿濃度とAUCには用量依存性がありました。

なお、CBDの最大の血漿濃度や脳内濃度が用量依存的であることは動物実験でも示唆されています。


したがって、初期の段階でCBDの効果を感じにくいと思った場合はCBDの含有量や濃度がもっと大きいものを試してみると効果を実感しやすくなるかもしれません。

CBDは脂溶性のため、食品などの脂肪分に溶かして同時に摂取するのが良い。

また、CBDは食事中もしくは食後すぐに摂取することで血漿濃度レベルが増加しました。

これは、CBDは脂溶性のため、食品などの脂肪分に溶かして同時に摂取することが最適な吸収を促すということを示しています。

ラットによる実験では、脂質と経口CBDの同時投与ではバイオアベイラビリティが3倍増加し、PNLとの同時投与では6倍増加しました。
※PNLはピペリンプロナノリポスフェアのこと。同時投与で劇的にバイオアベイラビリティが増加。


例えば私の場合、CBDオイルを舌下滴下する前に牛乳を飲んで口腔内を脂肪分で浸しておくとCBDの吸収率が上がり、実際に効果を実感しやすくなりました。

CBDの最大血漿濃度(血中濃度)の到達時間と半減期。

一方で、最大血漿濃度到達時間は用量依存的ではありませんでした。

口腔内粘膜投与および経口摂取では、多くの例で最大濃度到達時間が1〜4時間の範囲内でした。

静脈内投与、喫煙・吸入では非常に速く最大濃度に到達しました。※数値は後述します。

静脈内投与に関しては、短時間で高濃度のCBDが検出され、急性的な状況に対して適応する可能性が示唆されました。

喫煙・吸入も同様の理由で比較的急性な状況に適応する可能性がありますが、静脈内投与に比べると最大血漿濃度は顕著に小さいという結果でした。


なお、CBDの半減期に関しては投与量と投与経路に依存していました。※数値は後述します。

子供はCBDの薬物動態学的作用が大人と異なる。

子供の場合、大人とは薬物動態学的作用が異なるものとなります。

子供におけるCBDの吸収や排泄、代謝、血漿タンパク質への結合などの能力は成人よりも低くなり、見かけ分布容積は成人よりも高くなると報告されています。

なお、4〜10歳の子供に経口液剤のCBDを投与した試験では、AUCが用量依存的に増加しました。

ヒトの体脂肪率がCBDの薬物動態を左右する。

カンナビノイドは油の性質が強く親油性が高いため、脂肪組織に蓄積しやすく、蓄積後に徐々に放出されることが知られています。

ところが、被験者の脂肪含有量がどのように影響するかということを調査した研究は2018年時点ではなかったとのことです。

今後は被験者の脂肪含有量を測定して、蓄積を評価しながら調査を行うことが有益になりえるといえます。

これにより、体脂肪率ごとに適切な用量や用法が予想できるようになる可能性があります。

ヒトにおける摂取方法ごとのCBDの薬物動態パラメータ。

ここではレビューで取り上げられた各研究で評価された薬物動態パラメータの具体的な数値をわかりやすくまとめました。考察に役立てていただけたら幸いです。

それぞれのCBDの薬物動態パラメータに関しては以下のように表しています。

最大血漿濃度:Cmax (ng/ml) [平均最大血漿濃度:Cmax;m]

最大濃度時間(最大血漿濃度に到達するまでの時間):Tmax (hour)

AUC(血漿濃度vs時間を示す曲線下の面積):AUC (hour・ng/ml)

半減期(血漿濃度が半分まで減少するのにかかる時間):t (hour)

平均排泄速度定数(排泄の速度を表す尺度):Kel

平均見かけ分布容積:V (L)

口腔粘膜摂取(滴下と噴出)におけるCBDの薬物動態パラメータ。

報告されている口腔粘膜摂取での薬物動態パラメータを以下に表で示しました。わかりやすくするために表を2つに分けました。

口腔粘膜投与-1Cmax;mTmaxAUCその他
舌下滴下 CBD20mg2.12.22.6
舌下滴下 CBD20mg+THC2.61.73.5t=2, Kel=0.37
スプレー CBD10mg+THC0.5-3.31.6-4.23.1-11.3
スプレー CBD20mg/day+THC1.51.46.1
スプレー CBD60mg/day+THC4.81.538.9

※例えば、最初の「舌下滴下 CBD20mg」では2.2時間で最大血漿濃度2.1ng/mlになったことを示します。(AUC=2.6 hour・ng/ml)

表中の「+THC」はサティベックスのようなCBD+THCの混合製剤であることを表しており、多くの例でCBDと同程度の量のTHCとなっています。

なお、上の表では複数の研究報告をもとに薬物動態パラメータをまとめているため、条件は統一されていません。


一方で次の下表は同一の研究者による報告です。

口腔粘膜投与-2投与Cmax;mTmaxAUCその他
スプレー CBD5mg+THC単回投与(絶食)0.41.0-1.40.8Kel=0.173
スプレー CBD10mg+THC単回投与(絶食)1.21.44.5Kel=0.148
スプレー CBD10mg+THC単回投与(摂食)3.7423.1Kel=0.155
スプレー CBD20mg+THC単回投与(絶食)2.21.0-1.49.9Kel=0.123
スプレー CBD5mg/day+THC9日間の投与後0.51.3-22.5
スプレー CBD10mg/day+THC9日間の投与後1.11.3-26.7
スプレー CBD20mg/day+THC9日間の投与後3.21.3-220.3

摂食状態と絶食状態での差について、CBD+THC 口腔粘膜スプレー (CBD 10mg)の単回投与では絶食条件と比べて摂食条件で平均AUCと最大血漿濃度がそれぞれ5倍および3倍高くなりました。

また、CBD+THC 口腔粘膜スプレー (CBD10mg)の単回投与では平均見かけ分布容積Vが26298-31994 Lでした。

なお、CBD+THC 口腔粘膜スプレー投与 (CBD 5〜20mg)では半減期tが1.4〜10.9時間の範囲でした。

経口摂取(カプセル投与)におけるCBDの薬物動態パラメータ。

ここでは報告されている経口摂取での薬物動態パラメータを表にしました。ここでも複数の研究報告をもとにまとめているため、条件は統一されていません。

経口摂取Cmax;mTmaxAUCその他
カプセル CBD10mg+THC2.51.3t=1.1
カプセル CBD800mg77.93
カプセル CBD5.4mg+THC0.914.4
PNLカプセル CBD10mg+THC2.116.9
経口脂質カプセル CBD10mg3.23t=3

上表のほかに、カプセル(CBD 10mg/kg/day)で6週間の慢性経口投与後の結果が報告されており、そこでは半減期tが2〜5日だったようです。


CBD用量の増加は最大血漿濃度の増加に対応していますが、CBD高用量間での最大血漿濃度に大きな差が無く、用量がおよそ400〜800mgでは飽和している状態に近いことが示唆されています。

また、同一条件でのCBD+THC 口腔粘膜スプレーとPNLカプセルとの比較では、PNLカプセルで最大濃度およびAUCが高くなり、最大濃度に達する時間が短くなりました。

PNLはピペリンプロナノリポスフェアのこと。同時投与で劇的にバイオアベイラビリティが増加。

静脈内投与におけるCBDの薬物動態パラメータ。

さらに、以下は報告されている静脈内投与での薬物動態パラメータです。

静脈内投与C ;3 minC ;60 min半減期 tその他
静脈内投与 CBD20mg6864824V=2520

C ;3 min …3分後の血漿濃度、C ;60 min …1時間後の血漿濃度

喫煙・吸入におけるCBDの薬物動態パラメータ。

また、以下はそれぞれ報告されている喫煙・吸入での薬物動態パラメータです。

喫煙C ;3 minC ;60 min半減期 tその他
喫煙 CBD19.2mg11010.231b.a.=31%

C ;3 min …3分後の血漿濃度、C ;60 min …1時間後の血漿濃度、b.a. …平均バイオアベイラビリティ

喫煙以外にネブライザーやエアロゾルによる吸入も報告されていました。

吸入Cmax;mTmaxAUCその他
ネブライザー CBD20mg+THC9.50.69.4t=1.1, Kel=0.98
エアロゾル CBD20mg+THC2.62.355.4t=2.4, Kel=0.43

エアロゾルともなると、経口粘膜摂取とさほど変わらない結果となっていました。

ヒトにおけるCBDのバイオアベイラビリティに関する研究で今後求められていること。

前述したように、ヒトにおけるCBDのバイオアベイラビリティを示すようなデータはほとんど報告されていませんでした。

とはいえ、CBDの使用計画を立てる上で、それぞれの投与経路に対応する薬物動態に関するデータは不可欠であり、今後さらに調査が求められています。

その際に重要なのが、バラツキがなく比較のしやすい統一性のあるデータです。

今回紹介したレビューで見つかった研究では、被験者の集団が健康な群と患者の群であったり、大麻喫煙者と未経験者であったり、男女の割合が一様でなかったりとバラつきがありました。

また、使用されたCBDの製品も様態や組成が異なるなど、統一性はあまりありませんでした。

今後は、比較可能な条件におけるデータの蓄積が求められてくるでしょう。



いかがだったでしょうか。

ヒトへのバイオアベイラビリティを考察するにはまだまだ研究が足りておらず、信頼性の高い結論をまとめるのは現時点において難しいということがわかりました。

しかし、大枠を掴むことはできるため、今後の動向を見張る上では不可欠な知識にはなるかもしれません。


参考にしていただけたら幸いです。

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ここまで見ていただきありがとうございました!